⚫冬の幻 / Acid Black Cherry
ABCの4thシングルのバラード曲。
1stアルバム『BLACK LIST』の発売に先駆けて発売され、デイリーチャートで1位を獲得したものの売り上げは奮わず。
ウィークリーでは前作「愛してない」に引き続き2位であった。
前作同様に、基本的には歌謡曲がベースとなっているが、バックの演奏と編曲に関してはロック要素が含まれており、歌謡ロックバラードと言えるのではないだろうか。
これが、その後のシングル「優しい嘘」「イエス」「君がいない、あの日から…」だったり、アルバムの「Prologue End」「Mother」「Fallin' Angle」「Round & Round」に繋がるテイストになってくる。
▪️恋人を失った悲しみと再生
人の生き死にをテーマにした曲は、ジャンヌの頃も発表していて、特に印象深く残っているのは「風にのって」という曲。
スマトラ沖地震を元に、津波で亡くなってしまった少年やその親の想いをドラマチックに表現した名曲であった。
しかしながら、ニュースでしか飛び込んでこないため、異国の地の出来事はどこか他人事に感じてしまう。
打って変わって「冬の幻」では、恋人の死という身近な存在のドラマであるがために、悲しみが心にストレートに届いてくる。
また、飛躍した考えを歌詞にしたわけではなく、あくまでもリアルな人間の感情を描いているので、すーっと身に染みる。
ABC史上、名曲と言える一曲のひとつ。
ネタ的な要素も含まれていた1stと2ndから、3rd、4thと一般受けも良い曲を作り、それこそファン層を広めたりする意味でも良い選択であったんじゃないかと思う。
友人に声を大にしてオススメ出来る曲です。
▪️情景が浮かび上がる冬ソング
冬の曲と言われて思い浮かべる曲が誰しもあると思います。
僕にとっては、この「冬の幻」が正にそうで、これから先も変わることはないでしょう。
恋人を失った悲しみが強調されるのが、彼女の温もりを感じられる歌詞。
"寒さに弱い僕の シャツに手を入れたりして
君が喜ぶから 冬が好きだった…"
きっと、彼にとって冬とは、とっても寒くて嫌いだったはずなのに、彼女がいることで愛情を感じられて温かい気持ちになれるから、とっても好きになったんだろうね。
命の尊さや呆気なさに嘆く彼の想いも上手く表現されています。
"粉雪よ止まないで
手の平に消えないで
儚すぎる命と重なるから
震えた声で かじかんだ手で
ただ君を探し続けているよ"
命の儚さを、溶けてなくなる雪に重ねてしまう切なさを唄っている。
ラストサビを全文載せます。
"粉雪よ止まないで
手の平に消えないで
儚くて…声にならない
せめて夢でイイ 君に逢いたい
そっと温めてあげたい
君を見つけられない
苦しくて眠れない
逢いたい 逢いたい気持ち 抑えられない
夢にもたれて 静かに泣いて
少しずつ歩いてみるよ
でも君を忘れない
涙なら流さない
僕の心の中に生きてるから
白い景色に 君を映して
あの日の笑顔のまま…"
最後はベタに、探していた彼女を自分の中に見つけ出しました。
それで終わらず、粉雪の舞い降る冬の白い景色に彼女の姿が現れる(冬の幻)というシーンが浮かぶ歌詞に涙、涙…涙。
歌詞もそうですが、サビのハイトーンでやられます。
yasuの綺麗な声は、夏よりも冬の切ない曲にマッチしますよ。
この曲、LIVEだと、ラストサビ前のギター間奏で一旦ブレイクして、スローテンポで歌い出しになります。
yasuのソロパートで、バックはギターの音色…
ドラマチックな演出にやられちゃいますので、ファン以外に映像を見せても高評価を得られます。
tour 『2012』では、acoustic ver.が聴けます。こっちはこっちで染み入りますな。
ここからは凄く個人的な話。
僕にとって、ABCを本当に好きになったキッカケの曲が「冬の幻」です。
それまでABCを知るキッカケとなった曲があったのですが(詳細は後日、その曲紹介で…)、この曲を聴いてハマりました。
お恥ずかしながら、初めて聴いたのは2011年の冬だったと記憶しています。
こちらからハマったので、僕にとってはバラードがABCのイメージなのが未だに抜けていません。
2011年のDreamCup(フリーライブ)映像で初めてLIVE ver.を聴いて、余計好きになってしまいました。
その後、tour Shangri-laのアンコールツアーだった名古屋公演で生歌を聴けて本当に感動しちゃいました。
本当、泣きそうなった(笑)
それ以降、LIVEでお目にかかってはいませんが、いつかまた聴きたいなー。
ちなみに、PVはかなりふざけた中身なんでね。一見の価値あり。ただし、過去作品のPVと繋がりがあるため、まずは振り返る必要あり。