⚫愛してない / Acid Black Cherry
ABCの3rdシングルにして、初のバラード曲。
それまでロック調の「SPELL MAGIC」と、ジャズ調の「Black Cherry」をリリースしていて、バラードとして3曲目をチョイス。
バラードと言われれば定義としては広いが、イメージとしては歌謡曲テイストの楽曲というのが正しいか。
ソロデビューし、ジャンヌが事実上の休止となった理由を「ロックをやりたかったから」と捉えていたファンにとって、この曲はショッキングだったんじゃないかな?
▪️ここから始まったABCの歌謡曲テイスト
yasuの歌手としてのルーツは歌謡曲にある。
今でこそ皆が知っているそんな事実も。きっとハード曲やポップなイメージが先行したジャンヌファンからすると、あまりピンと来なかったのかもしれない。
しかし、ABCでシングルのカップリング曲に歌謡曲のカバー曲を持ってきて、歌手としてのyasuの才能や適正が歌謡曲に寄っていることをマジマジと感じさせられただろう。
よく考えたら、ジャンヌ時代も「DOLLS」「心の行方」「振り向けば…」といったいくつものバラードが歌謡曲テイストとなっていることに気がつくから納得してしまう。
彼の伸びやかなハイトーンボイスは、日本人の涙腺を緩ませる歌謡曲に持ってこいではないか?
▪️タイトル名の真意
「愛してない」は、そのタイトル通り別れ歌となっている。
何らかの理由で離れることとなった二人だが、まだお互いに未練を抱えている。
だから、相手に話しているようで自分に言い聞かせている言葉となっている。
相手側が明らかに別れたくないと言っているのに、自分は本心では別れたくなくても別れなきゃと思っている。
この辺りで、価値観の違いだったり、もしかしたらホストと付き合っている女性の姿だったりが映し出されるかも…
解釈として難しいと思ったのは、サビ終わりの歌詞。
"「愛してるよ・・・愛してるよ・・・」
もう声にならないくらい
君が想うよりもっと・・・"
それまで一人称は"私"で、相手側は"あなた"であったのに対し、ラストで"君"が出てくる。
歌詞の内容からすれば、私=彼女、あなた=彼氏で、ストレートに捉えれば君=あなた=彼氏なんだろう。
ただ、最初の出だしの歌詞とリンクさせ、比較しているんだとすれば、君=彼女となる。
すると、それまで彼氏を愛してる彼女の想い以上に、彼氏は彼女を愛してるんだと言っていることになります。
(ややこしい!笑)
ここまでの説明からお気づきかと思います。
この男女、お互いにかなり相手のこと愛しているんですよ。
愛してるから別れたくない彼氏と、愛してるからこそ別れなきゃいけないと言う彼女と…
この時点で、価値観が違うことは承知。
つまり、相手の価値観からすると、それって"愛してない"ことになりませんか?
この曲、"愛してない"=本当は愛してる、という意味で伝わりがちなんですが、実際のところは"愛してない"=愛せてない、ということなんじゃないでしょうかね。
うーん、深い。
PVのことに少し触れると…
ABCでは初めての、yasuオンリーの撮影となっています。(サポートメンバーが出てきません)
それと、撮影地は箱根にある"星の王子さまミュージアム"というところです。
実は、L'Arc~en~Cielの「GOOD LUCK MY WAY」のPV撮影地でもあります。
ただ、発売日が「愛してない」の方が3年以上前なので、今回はyasuが先ということでした(笑)
私もここ行ったことあります!
なかなか雰囲気は良かったです。ファンなら一度訪れてみる価値はあると思いますよ。