◆Acid Blood Cherry / Acid Black Cherry
1.THE RUINER
2.BAD BLOOD
3.BEAST
4.crimson
5.BLACK OUT
6.Sweet dEvil
7.Forbidden Bells
8.RIDE into the FATE
9.KEDAMONO
10.Guilty Cry
突如、ABCから映像で発表されたAcid Blood Cherryなるもの。
時を経て、その企画が種明かしされ、ファンがあたふたしていた間も無く、6月21日にアルバムが発売。
発売前から賛否両論でしたが、実際に聴いた感想を見てみると、それはもう様々な意見があり、1ファンとしても音楽好きな人の1人としてもかなり楽しめました(笑)
今回、このアルバムについていくつか思ったこと……正確には、募る想いが爆発したので……本来なら1曲ずつブログの題材で扱うところをまとめて紹介していきつつ、アルバムの感想を書き記します( ´ ω ` )
▪️アルバムのテーマ
これまでのおさらいとして、アルバムを復習してみると…
まず、オリジナルアルバムが4枚『BLACK LIST』『Q.E.D.』『2012』『Lーエルー』
カバーアルバムが4枚『Recreation〜4』
この8枚がアルバムとして発表されています。
ABCのシングルとオリジナルアルバムの楽曲は、全てyasu(林保徳)が作詞・作曲を手掛けています。
カバーアルバムについては、シングル曲のカップリング曲+アルバム用にレコーディングしたもので、「stop it love」以外は他アーティストのカバー曲となっています。
※上記楽曲はセルフカバー。
今回発売したアルバム『Acid Blood Cherry』は、これまでのようにyasuが作詞・作曲をするのでもなく、既存の楽曲をカバーするのでもなく、他アーティスト(サポートメンバー含む)に作詞・作曲を依頼し、新たな曲をyasuが唄うというものでした。
今までのABC(yasu)に新たな血"BLOOD"を注入する、というコンセプトで制作されたわけです。
つまりは、ボーカルがyasuなのは変わらないけど、yasuが作った楽曲じゃないというところで、これまでのABCとは一線を引く作品になりました。
先にMVが発表された「BAD BLOOD」からわかるように、yasuのテイストに近づけてすらいない、全く新しいABCサウンドに仕上がっています。
実際にアルバムを全曲流して聴いてみると、yasuに近いな〜という曲は何曲かあっても、作詞は完全に他人だとわかるし、これまでにはない展開をしていたりするし、これは意見が分かれるなーと真っ先に思いましたね。
僕、個人としての感想を率直に言うならば…
間違いなく失敗でしょう。
理由は、最後に書こうと思います^^;
▪️アルバムに隠れたテーマ
そもそもABCとはなんだったのか?
語呂合わせ?
エロス?
"yasu自身が自分をプロデュースして成り立つプロジェクト"という表現が正しいのかもしれません。
ただ、これまでがそうだっただけで、別に作詞・作曲とかは他アーティストさんに任せてもいいんじゃないか?
という意見に関して、僕は反対しません。
でも、そうなるとABCではなく林保徳としてって感じな気もしてくるんですよ…
元々ABCたるもの、yasuが好き勝手できるプロジェクトだと割り切れるなら理解できるんでしょうけど。
だから、他アーティストによる楽曲をyasuが唄っていて、それをABCとして発表してライブしちゃう、その辺にファンが違和感を感じちゃうのは仕方ないと思います。
ブログでは、違和感を感じて賛否両論あるというのがまた狙いだ、というような内容がありましたけど、僕の見解からすると、もちろん賛否両論はあって当たり前で否定的な意見=これまでのABCへの評価となるんでしょうが、流石にそうなると楽曲制作に携わって頂いたアーティストに失礼なんじゃないかと思うわけですよ。
「カッコイイ曲だけどyasuには合わないんじゃないか」
という意見は正しい。
アルバム付属のDVDに収録された対談によれば、楽曲制作では初めABCに寄せた楽曲を持ってくるアーティストさんがいてyasuから「寄せなくていいから自分らしいの作ってきて」と言ったようなので、ABCらしさは確かに抜けてると思います。
そもそもがABCに寄せてないんだから、言わばカバーみたいな曲になっちゃうんでしょう。
盲目なファンは
「いつものABCらしさはないけど逆に新鮮!yasuが唄ってるから好き」
という感じでしょう。
yasuの声も歌い方も好きなのは自分も一緒。
新鮮に感じるのも確かですね。
でも、手放しには喜べない楽曲。
だって、yasuに合っていないんだもの…
それがアルバムのテーマなんじゃないでしょうか?
やったことのないような曲をやって、yasuの引き出しを増やしてもらって、次の楽曲制作に生かす、そんなゴールのための過程に過ぎないアルバムになっちゃうんでしょうか?
▪️オリコンウィークリー1位
そんな賛否両論アルバム、BLOODちゃんは、なんだかんだでオリコンウィークリー1位を獲得しました。
(ビルボードは2位らしい)
『2012』以来5年振りのこと。
どちらもファンから酷評される出来ゆえに複雑な心境ではいます。
ただ、順位は別に物差しなだけで、最後はいくら売れたかというセールスが重要になってくるんでしょう。
そう思うと、やっぱり厳しい売れ行き。まあ、CD業界全体が既にそうなんでしょうけど…
これからアルバムツアーが始まる上で、ウィークリー1位を取れたのはかなりデカいでしょうね。
新たなメンバーを迎え入れて、新しい試みで、しかも大中規模のライブハウスツアーでのライブとなると、かなり慣れないのでプレッシャーも大きいんだけど、オリコンから後押し受けた感がありますね。
一つ疑問としては、こんないきなり新しいやり方を発表して、アルバム発売発表して、そこで止めとけばいいのに、まだアルバム発売していない段階でファンクラブ会員限定でチケット応募始めちゃうし…そこは時間空けるべきだろうよ?
なんだか全部勢いのままやって、勢いでアルバム売って、勢いでライブ来てもらうつもりなのでしょうか。
むしろ、早足で夏すぎまでアルバムツアー敢行して以後10thライブとかシングル発表とかするの目に見えてて、なんか本当にお遊びな感じがしてしまうのは自分だけか?
▪️曲紹介
長くなりそうなので曲紹介に移ります。
なお、こちらで紹介をするので以降ブログでは収録曲を扱わないこととします。
1.THE RUINER
defspiralのベースRYOが作詞・作曲したアップテンポのロックナンバー。
洋楽のような…yasuらしくない曲調だけど、どこかABCに近いようなギターサウンドでアルバムのスタートを切る。完成度は高く、続く曲を期待させてくれる。少しダークな感じが「1956 LOVE/HATE」に近いか。
制作者のRYOとは、インディーズ時代が出会い。前身バンドであるTRANSTIC NERVEの頃、ジャンヌのプロデューサーでもあった岡野ハジメが同バンドを支えていた共通点を持つ。
2.BAD BLOOD
唯一MVが作られてアルバムのリード曲となった一曲。
これまでのABCと大きく異なるのは、デスボイス。
作曲を務めた長野典二とは、これまたインディーズ時代からの付き合い。
こちらもベーシストならではのごりごりロックな感じであり、かつダーク。多少シンセが鳴るからメロディアス。「Greed Greed Greed」と「INCUBUS」を足して割ったような印象。
3.BEAST
1曲目同様にRYOによる楽曲。
「LIAR or liar ?」を思わせるようなハードチューンで、ライブで盛り上がりそうな爽やかロック曲。メロディーライン、歌詞共に個人的にはアルバムで一番好きな曲です。
若干、VAMPSをジャンヌ寄りにしたような緩さもあり。バランスが良い。
4.crimson
2011 ABC Dream Cup フリーライブでサポートを務めたギターリスト室姫深が制作。
アルバムの中で一番混沌とした雰囲気。歌詞は全部英詞ではあるが、メッセージ性が強い。
流れるようにアンニュイな感じでの唄い方はyasuに不向きでしょう。
NIRVANAとかNINE INCH NAILSのような淀みががった渇いた音が特徴。
多分、yasuの透き通る唄声に対してミスマッチ。
5.BLACK OUT
ここでようやく普段からサポートを務めるギターのHIRO作曲の曲が出てきます。
やはり安定。ABCサウンドに最も近く、安心感ありあり(笑)
HIROさん特徴のギターサウンドで切なくもパワーを内に秘めた中身になっています。
ライブ中盤で光るロックバラードになりそうで、個人的に好きな曲。
6.Sweet dEvil
同じくサポートメンバーのベーシストSHUSEが作曲した曲。
リズミカルだけど癖があるから演奏難しそう。
これはABCらしくもあり、らしくない中間をいくラインかな?
何回か通して聴いたけど、確かに悪くないのに耳に残らない。印象は薄いという印象(笑)
7.Forbidden Bells
Twitterでサビ部分だけ限定的に公開していた一曲。
最近a-nationでサポートを務めたギターリストLedaの作詞・作曲。
曲のクオリティーはアルバム1位2位を争う、それくらい完成してる。
曲も歌詞もマッチしていて、かつABCらしくないのにyasuが新しく作ったような印象さえ与えてくれる絶妙なバランスがある!
ラルクの「Don't be Afraid」に似てる?
8.RIDE into the FATE
作曲は長野典二、作詞は緋村剛と、以前同じバンドを組んでいた二人がタッグを組んで出来た曲。
ゲーム音楽というか、シンセの印象が強いというか、それでいてラップやデスボイスがあって、色々詰め込み過ぎちゃってバランスが悪い印象を受けました(笑)
歌詞はまるで王道アニソンのよう。
小室サウンドとかV6みたい、テクノな一曲。
ライブが一番心配!
9.KEDAMONO
HIRO作曲、AKIHIDE作詞。
AKIHIDEとはRe:birthツアー以来の仕事か。
泣く子も黙るHIROさんだけに低音重視の曲。それにドロドロした関係を歌詞で築かされる。
「指輪物語」に近い、不倫ソング。歌詞は…正直ピンとこなかった。センスを感じられなくて、中学生でも書けそうな内容でガッカリでした。
10.Guilty Cry
これは…良い!
記憶が正しければ、密会で最初にBLOODの企画を紹介する映像で流れたギターメロだったと思います。
早弾きからのベースごりごりラインと、馬が走ってそうな力強さと爽快感があるパワフルな曲。
ライブで早く聴いてみたい、いや味わってみたいと思えた!
こうやって、1曲1曲並べていくと、悪くない。むしろ、良い印象を抱く。
オリジナルアルバムのようなストーリー性に欠け、寄せ集めた感じがするのは致し方ないにせよ、これだけ完成度の高い楽曲を10曲もいっきに制作したのにはyasuを取り囲む人物たちの実力の高さを感じ、そこで改めてyasuの人望の厚さを知ることができる。
しかしながら、かなり限定的な曲を取り扱うことが、果たして今後のABCに生きるのか?不確定だと思ってしまう。
やっぱり、yasuは自分で作ったメロや歌詞が一番合っていて魅力的なんだよ。
そんなことは、今更わかったことじゃなくて、ABCをはじめたときからなんとなくわかっていて。
あえて好き・嫌い分かれるアルバムを作る必要なかったと思う。
だから、今回の試みはどう考えても愚策だった。
仮に、yasuがもう自力で歌を作れないとしたなら、違うやり方がなかったのだろうか?
次の新曲への布石になりえるアルバムになるのかな。
個人的な意見を述べるなら、この機会にジャンヌ復活して欲しいんだけど…